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野菜づくりってハマっちゃう♡

野菜は、スーパーで買うものだって思ってた。まさか自分が作るだなんて・・・。

たまたま嫁いだ先がトマト農家。畑一面に実っているトマトを始めて見た時は、圧倒された。すごいという感動と共に、これからの私の人生はこの畑が大半となるだという圧迫感に、息ができずにいた。

そんな私の様子に、旦那は完熟の少し前のトマトを一つちぎり、私に手渡してきた。これ食べんの?塩がなくちゃ食べれない。と心の中でつぶやく。しかし、私に向けられている3つの視線が痛く、私は一口かぶりつく。

・・・うまい。少し固めの果肉が歯ごたえがあってよりおいしく感じる。なんだこれ?生温く、土と野菜のにおいで充満していた空気にもう気がめいりそうだったのに、夢中で、トマトにかぶりつく。

その姿に3つの視線は、安堵と誇りににじむ。

そして旦那がトマトのあれこれを饒舌に話しだす。私は相づちだけは打っているが、全然頭に入ってこない。話の中で分かったことは、このうまいトマトを作るにはたくさんの手間ひまと愛情が注がれていること。そしてそれをこれから私がやっていくということの二つだ。

我が子からありがとうのギフト

その日から私のトマトづくりは始まった。最初は単純作業の繰り返しにうんざりもした。こんなつもりじゃなかったとも思った。しかし、日々成長してくトマトたちにいつの間にか愛着も芽生え始めたのは確かだった。新芽が出て、花が咲き、小さな実をつけたころ、私はすっかりトマトに虜になっていた。虫だって最初は見るでさえ嫌だったのに、次第に気にならなくなり、手で払うくらいになっていた。まだ青々として小さな実、一つ一つに大きく美味しく育ってね!なんて声をかけている私。その姿に旦那が「お前もハマったな!」と一言。

私は恥ずかしながら、うん。とうなずくしかなかった。

時が経ち、新しい家族も増え、子育てと農業の仕事に毎日バタバタと過ごしていた。

もう、毎日がめまぐるしく過ぎて行き、あっという間に1日が終わる。自分がそんなタフな人間だとは新たな発見でもあった。独身のときには考えられないくらい、朝から晩まで動きっぱなし、睡眠時間もかなり減ったのに、なぜか、風邪を引くことも少なくなっていた。

そして子供が4歳になるころのこと、トマトの収穫時期は、平日は幼稚園へ、土日は畑で過ごすのが当り前になっていた。

その年は、悪天候が続き、例年通りに実ってくれるか心配だったが、なんとか収穫ができる状態にまで成長してくれた。コンテナいっぱいにトマトが並んでるトマトに4歳の子供は興味津々。

少し小ぶりのトマトを息子に渡すと、満面の笑み。下手の部分を器用に持ち、大きな口を開けてかぶりつく。溢れ出る果汁もおかまいなし。

そして私に向かって一言

「ママ!作ってくれてありがとう」

その瞬間、涙があふれてきてしまった。思わず優しく子供を抱き寄せた。

今まで、本当に大変で嫌になることなんて山ほどあった、だけど、やっぱりやってきてよかった。忙しくて、休みもなく、構ってあげれないこともあったのに・・・。

我が子の成長と、作り手の思いが伝わった瞬間の両方を一度に知る奇跡の瞬間となりました。



すごく平凡な中に生まれた奇跡。どの食べ物、商品にも誰かの何かのおかげ様の上に成り立っています。

そのことに感謝し、その感謝を教えるのも教育だと思うのです。

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